第4章 -夢中-(花巻貴大)*
でも、オレはすみれちゃんを
つい盗み見てしまう。
一生懸命話す凛ちゃんを、
子どもを見るような目で
ニコニコしながら見ていた。
「あ!でね、これが松川一静。
わたしの彼氏♪
すみれ、写メは見たコトあったよね?」
あ、やっぱ松も写メ撮るんだな。
「うん。お噂はかねがね♪」
「こちらこそ、お噂はかねがね。
つか、怖いな。何言われてんだ?」
「ん〜?ノロケ話♪」
「ちょっ…すみれっ!」
「へぇ♪」
「あ!ほら、一静っ!
お友だち紹介してよっ!!」
「えー?
オレもまだノロケ話聞きたいのに♪」
「えぇっ⁈」
凛ちゃんが少し照れていたので、
オレもからかうとまた赤くなっていた。
「じゃ、松がノロケとく♪?」
「花…早く自己紹介しろよ。」
松がそっけなく言うので、
オレは自己紹介を始めるコトにした。
「な〜んだ、残念(笑)
あ、花巻貴大です。
松と同じバレー部で、
ポジションはWS…って、
そこまでわかんねーか。
好きなモノはシュークリーム!
ココのシューパフェはオレの定番♪」
こんなもんか?
自己紹介って何言えばいいのか、
いつも迷う。
「じゃあ、次はすみれだね。」
「うん。」
オレはちょっとドキドキしながら、
すみれちゃんの自己紹介を聞いた。
「檜原すみれです。
凛とは中学からの友だちで…
あ!一静くんのコトは、
中学の時からずっと聞いてて、
今日やっと…」
「すみれっ!も〜。
すみれの自己紹介でしょ⁈」
「あはは。ゴメンゴメン♪」
すみれちゃんは笑いながら、
拗ねる凛ちゃんの頭を撫でていた。
「えっと…何言えばいいんだろ…
基本的に甘いものが好きで…
部活してなくて、太っちゃうから、
最近ランニング始めました。」
「ウォーキングじゃないの〜?
すみれね、運動音痴なの(笑)」
「凛〜〜っ!
は…走るだけならできるもん。」
さっきの仕返しと言わんばかりに、
凛ちゃんはすみれちゃんをからかう。
ぜんぜん太ってないのに、
やっぱり女のコは気にするんだなぁ。
「運動は苦手だけど、観るのは好き。
だから、WSも知ってるよ。
オールラウンダーなんだよね♪♪」