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〜Lemon Candy Story〜

第4章 -夢中-(花巻貴大)*


時はたち、翌週月曜部活オフの日。


学校帰りに松に連れられ、
オレはファミレスに来ていた。


「聞いてねーぞ?
彼女が桜川女子だったなんて。」


「聞かれてねーし。さっき言った。」


「及川じゃねーけど、
もっと早く言えよ。」


桜川女子はこの辺では有名な
お嬢様学校。


松の彼女は中学から桜川女子らしく、
どこで知り合ったのか聞くと、
松とは幼なじみで家が近いらしい。


「一静!」


可愛らしい声で松を呼ぶ声がして、
そちらに目を向けると、
桜川女子の女のコ2人が、
こちらへ向かってきた。


先を歩く少し背の高いほうが、
松の彼女だろう。
たしかにこれは及川に1票…。
松の彼女はめちゃくちゃ美人だった。


「ごめんね、遅くなっちゃった。」


「そんな待ってねーって。
気にすんな。」


「ありがと。
あ!一静のお友だちだよね?
待たせちゃってゴメンなさい。」


「いや。ぜんぜん大丈夫!」


だが、オレは松の美人の彼女より、
彼女の後ろにいるもう1人の女のコに
釘付けになっていた。
そのコのほうばかり見ていると、
一瞬目が合った。
すると彼女は申し訳なさそうに、
松とオレにぺこりと頭を下げた。


……っ⁈


かわいい…。
やべぇ…
オレ、赤くなってねぇよな…?


テンパってるそぶりは見せずに、
気にしてないとわかってほしくて、
二カッと笑ってみせる。


「つか、凛、座れよ。」


「はーい!あ、じゃあ、
一静、そっち行ってよ。
わたしたち、こっち側に座るー。
そのほうが話しやすいでしょ?」


「ん?あぁ。」


向かいに座っていた松が隣に来たので、
オレは奥へつめた。


「じゃ、すみれが奥ねー。」


そう言って、松の彼女は、
友だちをオレの前に座らせ、
自分は松の前に座った。


オレの前に来たそのコは、
はにかむようにニコッと笑い、
オレの前に座った。


どストライク…だった。


もちろん松の彼女じゃない。
オレの目の前に座っている
”すみれ”と呼ばれた彼女だ。


松はそれがわかっていて、
オレに紹介したのか?


最初に誘われたときに、
なんでオレなのか聞くと、
「及川は絶対ムリだろー?
岩は女のコ前にしたら
固まりそうだし、
そうなるとやっぱ花?」
って、松は笑いながら言っていた。

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