• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第26章 -残業-(黒尾/岩泉/花巻)


予期せぬ花巻さんからのメッセージに
胸が高鳴り、思わず顔をあげて
花巻さんのほうを見てしまう。


花巻さんはわたしの視線に気付くと、
隣の後輩がPC画面に
向かっているのを確認して、
ニヤリとして視線をそらした。


わたしは恥ずかしくなり、
下を向いて急いでメッセージを返す。


”見てません‼︎花巻さんがわたしを
見てたんじゃないですかー?”


何も考えずに送信ボタンを押してしまい、
可愛げのないメッセージに
少しだけ後悔してしまう。


ブーッブーッ


するとすぐ花巻さんから
メッセージが返ってきた。


”ウソつき♪”


そう…。
花巻さんと目が合うというコトは、
もちろんわたしも…


花巻さんを見ていた。


異動してからいつのまにかついた
クセだった。


”ウソじゃないですー‼︎”


そう返信すると、
花巻さんからの返信は止まってしまい、
花巻さんはまた隣の新人ちゃんと
楽しそうに仕事を始めた。



な…なんだったのーーー⁉︎



もう絶対花巻さんのほうなんか見ない‼︎
花巻さんなんか忘れるっ‼︎


わたしは少しイライラしながら、
残りの仕事に集中するコトにした。







「お疲れーー。」


暫く集中してまったく
顔をあげずにいると、
花巻さんの声が聞こえてきた。


え…⁈帰っちゃうの⁈


そう思い、思わず顔をあげる。


「お疲れさまでしたー。」


帰ったのは新人ちゃんだった。


バタンとドアが閉まるのを見ていると、
ふと視界に入ってきた花巻さんと、
目が合ってしまった。


「やっぱ見てんじゃーーん‼︎」


「な…っ⁈」


花巻さんはメッセージではなく、
フロアの端の席から
大きな声でわたしに向かって叫んだ。


わたしが返事をできずにいると、
花巻さんは立ち上がり、
わたしの席まで来た。


「よっ。残業かー?」


「は…い。」


「1人でエライじゃん。
お疲れさん♪」


花巻さんが頭をポンとしてくれた。
昔みたいに…。


「花巻さんは2人で楽しそうでしたね。」


今はあの新人ちゃんに
こうやってあげてるのかな…


そう思うと捻くれた嫌味しか
言えなかった。


はぁ…なんて可愛くないんだろう。


/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp