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〜Lemon Candy Story〜

第26章 -残業-(黒尾/岩泉/花巻)


「もう遅いし、
早く帰ったほうがいいっすよ。
ま、すみれさん、終電気にしなくても
帰れるようになっちゃったんだろーけど。」


そう…黒尾くんの言う通り。
わたしは最近引っ越したばかりだ。


会社へは電車でたったの2駅。
歩こうと思えば十分歩ける。


わたしが黙っていると、
黒尾くんがことばを続けた。


「はぁ。
すみれさん、変わってないっすね。
もうちょっと周りを
頼ったほうがいいんじゃないっすか?」


「え…?」


「どーせ、また、さっきみたいに、
”大丈夫です”って言っちゃって、
全部引き受けたんすよね?」


…‼︎


図星だった。


黒尾くんとは、黒尾くんが入社した時、
同じ部で、わたしは黒尾くんの教育係だった。
黒尾くんが入社してから3年間、
同じ部だったから、
黒尾くんはわたしの癖をよく知っている。


だから、”また”と言ったのだろう。


「でも、わたしの担当だし…」


「担当だけど、
大口のイレギュラーな仕事っすよね?」


わたしの左側に立って、
PC画面を覗き込みながら、
黒尾くんは言う。


「ま…間違えると思わなかったし…」


「言い訳しないのー。」


「…すみません。」


はぁぁ。これじゃ、
どっちが先輩かわかんないなぁ。


黒尾くんの言うコトはごもっとも。


わかっているのに、
わたしは人に頼るのが苦手…。


「すみれさん、
コレって××から引っ張ってます?」


「え⁈あ…うん。そうだけど…」


「あ…それならもしかして…」


…⁈


黒尾くんは少し腰をかがめ、
PCを見ながら、
何やら探しているようだったが、
ふいに黒尾くんと近づいたので、
思わず意識してしまう。


「えっと…黒尾くん⁈」


「もしかしたら、あっちの…
あ、でも…コレが…」


黒尾くんはブツブツ言いながら、
動きを止めない。


「黒尾くん⁈」


「あ、オレ、けっこう高いっすよ?」


そう言って、黒尾くんは、
スッとわたしのほうへ手を伸ばし、
わたしを見つめてきた。


「えっ⁈」


わたしの上から
覆いかぶさるようにして、
黒尾くんの顔が真横にあった。
少し動いたら、キスできそうな距離…
黒尾くんはさらに顔を近づけてきた。



キス…されちゃう⁈

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