第3章 -咆哮-(鎌先靖志)
ココは3階なので、
すみれと廣瀬がいるのは見えるが、
何を話しているかまではわからない。
廣瀬も制服だったから、
たぶん…一緒に帰るんだろうな。
オレがあの時…
「でも、最近すみれ、
元気ないよなー。」
「あぁ。誰のせいだろうなー。」
…っ⁉︎
オレの横で見ていた笹谷と茂庭が
口々に言う。
「あぁっ‼︎」
「な…なんだよっ⁈」
「あれ…っ‼︎」
突然茂庭が叫んだので、
茂庭が指差すほうを見た。
…廣瀬がすみれの手を握っていた。
な…っ⁈
すみれは驚いたのか、
2人はその場で立ち止まっていた。
「すみれーーーーーーっ‼︎」
すみれが顔をあげ、
こっちを向いたのがわかった。
気がついたらオレは
すみれに向かって叫んでいた。
すみれが避けるなら、
無理矢理にでも聞かせるしかない。
「すみれーーーーーーっ‼︎
オレ、すみれのコトが
好きだぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「「鎌…ち?」」
オレの横で、笹谷と茂庭が
ポカンとして見ていた。
すみれはオレのほうを見たまま、
動かなかった。
遅かったのか…?
もう…すみれは廣瀬と…
…っ⁈
そう思った瞬間、
すみれは廣瀬から離れ、
そして、オレに負けないくらいの
デカい声で叫んだ。
「鎌先のバカーーーーーっ!
遅ーーーーーいっ!」
…っ⁈
「でも…わたしも…!
やっぱり鎌先が好きーーーーーーっ!」
…っ⁉︎
「わりっ!オレ、先帰るっ!」
オレは笹谷と茂庭を置いて、
グラウンドまで猛ダッシュした。
「すみれっ!」
途中まで走ってきていたすみれを
オレは夢中で抱き締めた。
「遅いよっ!
それに…恥ずかしいっ。」
第一声が文句かよ⁈
そう思ったが、
すみれもオレにギュッとしていた。
「おまえが避けるからだろ?」
「だって…。
もう…はなさないからね?」
「オレもはなさねーよ。」
オレはさらに強く
すみれを抱き締めた。
翌日…
オレらが学校中で
有名になってしまったことは、
言うまでもない。
---End---