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〜Lemon Candy Story〜

第25章 -魅力-(及川徹)


無言のまま及川くんに手を引かれ、
辿り着いたのはバレー部の部室だった。


「はい。タオル。
使ってないヤツだからキレイだよ。」


そう言って及川くんは、
わたしの頭にふわりとタオルをかけ、
優しく髪を拭いてくれた。


「お…及川くん⁈あの…自分で…」



及川くんの顔が目の前にある。



及川くんはジッと
わたしを見つめていたが、
わたしは及川くんの視線を感じて、
恥ずかしくなってしまい、
頬が赤くなるのを感じながら、
ずっと足元を見ていた。


「大丈夫だった?」


「え…⁇」


及川くんが優しい口調で聞いてきて、
わたしは思わず見上げてしまう。


「大丈夫なわけ…ないか。
こんな濡れちゃったのに、
あんな不躾な男たちばっかだったもんね。」


「あ…」


わたしは皆に
見られてしまったコトを思い出し、
さらに赤くなってしまった。


「気にするコトないよ。
それだけすみれちゃんが
魅力的だったってコトなんだよ?」


「え…⁇」


「オレとしては…イヤだったけどね…」


「え…⁇」


また思わず及川くんを見てしまう。
及川くんはわたしを見つめて、
ニッコリ微笑んでいた。


「着替え…持ってる?」


「あ…うん。」


さすがに男子バレー部の部室では
着替えられないので、
普段は女子バレー部の部室を借りているので、
制服はバッグと共に女子バレー部の部室にある。


「じゃあ、着替えておいで。
オレも着替えるから。」


「え…⁇」


「一緒に帰ろう?拭いたとはいえ、
髪もビショビショでしょ?
おウチで心配されちゃうだろうし、
送ってくから。」


「そんな…。大丈夫だよ。
それに及川くん、遠回りになっ…⁈」


「送らせて…」


及川くんはわたしのことばを遮り、
突然わたしをギュッと抱き締めた。


「お…及川くん…⁇あの…⁈」


わたしは今の状況が理解できず、
ただただ及川くんの腕の中で、
テンパっていた。


「少しくらい…
オレのコト…頼ってよ…」


「え…⁇」


「いつも…岩ちゃんとかマッキーとか
まっつんとかばっかり…
もっと、オレのコトも見てよ。」


「及川…くん?」


及川くんの言っている意味がわからない。


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