第25章 -魅力-(及川徹)
プールの中から花巻くんが声を掛けてきた。
「入りたいけどね〜。
足だけでガマン…かな。」
さすがに男のコのように
上半身裸…というわけにはいかない。
わたしはジャージの裾を
太ももまで捲り上げ、
プールの冷たい水の中へ
足を入れた。
「冷た…っ‼︎」
「ははっ♪でも気持ちーだろ?」
「うん!」
…トンッ…
「きゃっ…」
「わりっ…」
…バッシャーーーン
水泳部の男子がわたしの横から、
飛び込もうとして、
わたしとぶつかってしまい、
足をプールに入れてたわたしは、
あっけなくプールの中に落ちてしまう。
「すみれ‼︎大丈夫か⁈」
プールの中で花巻くんが支えてくれた。
「うん!ありがとう。ビックリした〜。」
「どうした?」
「大丈夫⁈」
わたしの叫び声と水のはねる音で
驚いた皆がわたしの周りに集まってきた。
「すみれ‼︎大丈夫か?」
プールの上から松川くんが
手を差し出してくれ、
わたしはその手につかまり、
プールからあがった。
「うわぁ…ビショビショだ…」
「「「「…‼︎(白‼︎ピンクの花柄か‼︎)」」」」
「…?どうしたの?」
Tシャツの裾を絞っていると、
皆がポカンとしてわたしを見ていた。
バレー部メンバーだけじゃなくて、
水泳部メンバーまで…。
「「「「(つぅか…Tシャツが水に濡れて身体に張り付いて…エロい…)」」」」
「…っ⁈きゃあっ‼︎」
皆の視線の意味にやっと気付いて、
思わずしゃがみ込んでしまったけど、
時すでに遅し…。
キャ…キャミも白だし…
透け…透けちゃってたよね…⁈
どうしよう…
パサッ…
…⁈
突然上から
フワリと何かを掛けられた。
「及川くん⁈」
しゃがんだまま見上げると、
そこには及川くんがいて、
わたしにジャージを羽織らせてくれていた。
「皆、水に濡れた女のコに無遠慮すぎるよ。
すみれちゃん、おいで?」
「えっ⁈及川くん⁈あの…」
わたしが立ち上がると、
及川くんはジャージのファスナーを
あげてくれた。
「及川くん⁈あの…コレ、及川くんの?
ジャージが濡れちゃうよ。」
「いいから‼︎行くよ!」