第25章 -魅力-(及川徹)
「さっきジャンプした時、
グイッとしちったから、冷やしたい。」
「ほんとに?ムリしてない?」
わたしは岩泉くんの足元にしゃがみ込み、
コールドスプレーを吹き掛けた。
「岩ちゃん、普通に歩いてたじゃん。」
突然、横で黙っていた及川くんが口を開く。
「あ⁈なんだよ⁈急に⁈
別に捻ったとかくじいたわけじゃねーけど、
スプレーしちゃいけねーのかよ?」
及川くんのことばに、
岩泉くんが食ってかかる。
「あ…あの…2人とも…?」
「ま、要するに、皆あの手この手で
すみれと話したいんだろ?」
「はっ⁈なんのコトだよ?」
「(あ…岩泉はやっぱり素なのか…)」
松川くんは岩泉くんのことばに
なぜか1人で頷いていたけど、
わたしは松川くんのことばに、
ポカンとしてしまう。
「あ…あの…わたし…
そんなに話しかけづらい?
そんな話しかけづらいオーラ、
出してるつもりないんだけど…」
ちょ…ちょっとショック…かも。
「「「……。
(こいつ…もしかして、アホか?)」」」
岩泉くん、花巻くん、松川くんに
なぜだかジトッと見られてしまう。
「すみれちゃん、気にしなくていいよ。
ほら、紅白戦始まるから。」
及川くんのことばで、
皆コートに戻って行った。
さっきのはよくわからないけど…
入部して3ヶ月…
だいぶ皆と仲良くなれたと
思ってたんだけどな…。
でも…特に及川くんには、
やっぱりちょっと嫌われてるみたい…。
皆わたしのコト、”すみれ”って
呼んでくれるようになったのに、
及川くんだけは”すみれちゃん”と呼ぶ。
距離…置かれてるのかな…