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〜Lemon Candy Story〜

第24章 -身長-(夜久衞輔)


次の日もいつものように、
わたしは完全防寒防備で…
お気に入りのあのイヤマフをして、
学校に向かって歩いていた。


”やっくんてモテるよ”
”素直になれって話”


悔しいけど、昨日のクロのことばが
頭から離れない。


「わ〜っ‼︎」


「きゃぁぁっ‼︎」


いつものように
イヤマフをカポッと外され、
耳元でわっと声を掛けられた。


でも、わたしはいつもより飛び退いて
驚いてしまった。


何かがいつもと違う。


「ク…クロ⁈」


慌てて後ろを振り向くと、
わたしのイヤマフを外したのは、
夜久くんではなく、クロだった。


「はよ♪
やっくんじゃなくて残念だったなー?」


わたしの頭をポンポンとしながら、
クロはニヤッと笑った。


「…っ⁉︎」


「や…夜久くんじゃ…なかっ…」


やだ…どうしよう…
夜久くんじゃない…そうわかっただけで、
すごい悲しくて涙が溢れそうになる。


「えっ⁈おい⁈すみれ⁈
泣くなよ⁈おい⁈すみれ⁈」


「な…泣いてないってば‼︎」


なんで?


ただの挨拶なのに…


ただ…イヤマフを外して…あの笑顔で…


「黒尾‼︎何やってんだよ⁈」


「いってぇ‼︎」


「え…⁇」


あたふたしていたクロが
突然回し蹴りをされていた。


夜久くんに…。


その少し後ろから、
研磨くんとリエーフも来ている。


「なんですみれのコト泣かしてんだよ⁈」


「や…夜久さん?
別に泣かしたわけじゃ…」


クロが珍しく固まっている。


怒った夜久くんは、
誰よりも怖いというのは、
バレー部の常識だ。


「つぅか‼︎すみれのイヤマフ、
オマエが外すなよ‼︎」


そう言うと夜久くんは、
クロの手からわたしのイヤマフを取った。


あ…あれ…?怒ってるの…そこ…?


「おらっ‼︎行くぞ‼︎すみれ‼︎」


「え⁈…夜久くん⁈」


夜久くんに手をギュッと握って引っ張られ、
皆をおいて、
わたしたちは一足先に学校へ着いた。


部室へ着くと、まだ誰も来ていない。


2人きり…


「ん…」


部室に入ると、
わたしの正面に立った夜久くんが
カポッとわたしの頭にイヤマフをつけた。


「…?」


「あのな、1回しか言わねーからな?」


夜久くんはスゥッと息を吸った。

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