第24章 -身長-(夜久衞輔)
リエーフ以外の3人…
クロと研磨くんとわたしは固まった。
「リーエーフーー⁈
どういう意味だよっ‼︎」
夜久くんの回し蹴りが、
リエーフに炸裂した。
「オマエ、今日ずっとレシーブ練だからな!」
「えぇ⁈それはイヤです〜‼︎」
逃げるリエーフを追う夜久くん。
見慣れてしまった光景だった。
「今日も平和だなぁ♪」
「クロが言いかけたんじゃん。」
「オレはなんも言ってねーよ♪」
後ろから2人を眺めながら、
クロと研磨くんが呟いていた。
「ほら、わたしたちも行こ?
朝練遅れちゃう。」
「わりぃな、すみれ?」
「ん?何が?」
3人で歩き始めると、
クロが突然謝ってきた。
「毎朝毎朝、邪魔しちゃって♪」
「えっ⁈だ…だから、何が…?」
クロのことばに、
わたしは思わず固まってしまう。
「何がって〜?そこまで言わせる?
つかの間のやっくんとのラブラ…」
「クロッ‼︎違うってば‼︎」
「すみれさん、そんな真っ赤な顔で言っても
説得力ないよ。」
「…⁈」
サラリと研磨くんに言われてしまい、
わたしは返すことばがなかったが、
それでもやっとの思いで言い返す。
「別に…ほんとにそんなんじゃ…
同じ部活だし、朝会ったら、
一緒に行くし…夜久くんだって…」
「はっ⁈」
「すみれさんて…」
「な…なによ?」
「「(…素直じゃないうえに鈍感。)」」
黙ったままの2人の視線が痛い。
「ふぅん。
ま、それならそれでいいけどさ。」
クロがやっと喋り出し、
ふとわたしの顔を覗き込んできた。
「やっくんてモテるよ?
ま、オレほどじゃねーけどな♪」
「な…なに、急に?自慢?」
夜久くんがモテるのは知ってる。
身長があと5cmあったら、
もっとモテてたんじゃないかなとも思う。
でも、身長なんか関係ない。
バレーに向き合う姿勢も、
普段の何気ない会話も…
イヤマフを外して驚かせてきて、
ニコッと笑う夜久くん…
「素直になれって話♪」
…⁈
クロに諭されるのは、
なんだか納得いかないけど…
わたしは夜久くんが好き。
でも…告白してフラれたら…
って思うと…怖いから、
わたしは今のままの関係を…
もう少しだけ続けたいと思ってしまう。