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〜Lemon Candy Story〜

第3章 -咆哮-(鎌先靖志)


「それでねそれでね、」


もう少しですみれの家だったが、
すみれは次から次へと
いろんな話をする。


…⁈


グイッ…。


「危ねっ‼︎」


「きゃっ…」


一応車道側はオレが歩いていたのに、
なぜか自転車の奴がすみれ側から
通り抜けようとして、
すみれにぶつかりそうになり、
オレは咄嗟にすみれの腕を引いた。


「気をつけろっ!」


オレは後ろから怒鳴ったが、
自転車の奴は謝りもせずに
行ってしまった。


「…ったく。
すみれ、大丈夫か?」


「う…ん。ありがと。」


すみれがオレの腕の中で、
ゆっくり顔をあげた。


…っ⁈⁈


「わ…わりぃっ!」


オレ…何やってんだ⁈
オレはすみれの腕を引いたまま、
そのまますみれを抱き締めていた。


慌ててすみれをはなす。


「ふふ…やっぱり…
ちゃんと守ってくれたね。」


すみれはオレが抱き締めたコトなど
気にしていないようで、
ニッコリしてオレを見ていた。


「そ…そりゃ…今のは…」


「……。」


…?暗くてよく見えないが、
一瞬、すみれの表情が
曇ったように見えた気がした。


「鎌先はさ、今日のお礼…
コレでよかった?」


「は?コレって…課題のコトか?
おう!めっちゃ助かったぜ!」


「そう…。」


「…どうしたんだよ?」


やっぱりすみれの奴、
さっきからちょっと変だ。


「鎌先はさ…お礼…キスはイヤ?」


「は…っ⁈な…っ⁈おま…っ
何言って…⁉︎」



…チュ。



…っ⁈⁉︎


「…っ⁈すみれっ⁈」


突然すみれに腕を引かれ、
オレはそのままキスをされ、
すみれに抱き締められていた。


「す…好き。鎌先が…好きなの。」


すみれはオレにギュッとしながら、
か細い声で言った。


好き⁈すみれが⁈オレのコトを⁈


「あ…ゴメンね!急に…。」


「いや…っ…あの…っ」


「ゴ…ゴメンねっ。
あ…ありがと。もう家そこだから!
あの…また明日っ。」


すみれはオレから離れると、
逃げるように家に入ってしまった。


オレは咄嗟のことで、
すみれに何も言えなかった。



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