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〜Lemon Candy Story〜

第23章 -キス-(花巻貴大)


第2セットは溝口コーチが
ポカンと口を開けてしまうほど、
オレは第1セットとは見違える動きをした。


そして、もちろん勝った!!


試合が終わったあとも、
挨拶やら片付けやらがあるが、
オレはそれどころじゃなかった。


「は…花巻くん‼︎」


体育館の入口から、
チョコンと顔を出す
すみれちゃんがとても可愛くて、
オレはこっそり体育館を抜け出した。


「すみれちゃん‼︎あのさ…」


体育館裏まですみれちゃんを連れて行き、
すみれちゃんと向き合う。


「ごめんね!」


「え…?」


オレが謝ろうとしていたのに、
すみれちゃんに謝られてしまった。


「応援に行くって言ったのに、
第2セットからしか観れなくて…」


「そんなのいいって!それよ…」


「今日の花巻くん、すごかった‼︎
最後決めたのもカッコよかったし、
フェイント決めたのも
すごくカッコよかったし、
向こうのエースのアタック、
ほとんど花巻くんが受けてたし‼︎」


興奮して一気に話すすみれちゃん…


恥ずかしいけど…嬉しい…


でも…第1セット…
観られてなくて…よかったかも…な。


「ありがと。やっぱすみれちゃんが
オレの1番のファンかも。」


「え…?
な、なんか、1人で喋っちゃったね。
あ!そうだ‼︎あの…これ…」


頬を赤くしたすみれちゃんが、
可愛らしい袋をオレにくれた。


「お…お誕生日おめでとうっ‼︎」


「え…?覚えててくれたの?」


「うん。
これ作ってたら…間に合わなくて…」


「作って…?」


そういや…ほのかに甘い匂いがするし、
少しだけあったかい…
つぅか、この匂い…‼︎‼︎


「シュークリーム⁈」


袋を覗き込むと、
可愛くラッピングされた
プチシュークリームが
たくさん入っていた。


「去年もシュークリームだったから、
今年は迷ったんだけど…
おととい、
食べたかったって言ってたし、
それに…」


…?


すみれちゃんは、
また少し顔が赤くなっていた。


「初めてシュークリームあげた時、
”世界一美味い!”って
言ってくれたでしょ?
それがすごい嬉しくて…」


すみれちゃんのことばで、
オレはもらった包みを開け、
1つ口に入れた。


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