第23章 -キス-(花巻貴大)

「花巻！おまえ、今日、
レシーブ取りこぼしすぎだぞ‼︎」
よそ見してんな‼︎」


練習試合…第1セットはウチが取り、
現在セット間の休憩中だが、
溝口コーチにドヤされるのは
今日ばかりはオレばかり…


って、語呂よく言ってる場合じゃねー。


溝口コーチの言うように、
オレはよそ見ばかりしていた。


体育館の2階…ギャラリーの中に
すみれちゃんがいないか、
つい探してしまっていたからだ。


「あれ？そういえば今日、
すみれちゃんいないね。珍しっ！
マッキーの1番のファンなのに〜。」


及川のことばに思わず殺意を抱き、
言い返す。


「うっせぇ！
つぅか、及川、集中しろよ！」


「おめぇもだよ、花！
2人とも勝ってるからって、
油断すんな。」


…。


だが、痛いトコ岩につかれ、
及川との言い合いは終了。



「「すみません。」」


及川と2人で岩に謝る。


「…って、来てんじゃん。」


「なんだよ、松？何が来たの？」


横で松がポツンと呟くから、
たいして興味なかったけど、
松のことばを拾う。


「花のファン？」


…っ⁈


松の指差すほうを見ると、
2階の端っこにいつのまにか
すみれちゃんが来ていた。