第23章 -キス-(花巻貴大)
「よくわかんねーけど、
失恋した”かも”なら、
ハッキリ言われたわけじゃねーんだろ?」
「…?う…ん。
でも…本当だったら、
好きな人にしなきゃいけないコト…
されて…謝られちゃった…」
「はぁ?なんだ、それ?
つぅか、何されたんだよ?」
「あ…えっと…それは…」
さ…さすがに花巻くんにキスされたなんて、
岩泉くんに言えない…。
「はぁ…。
さっきからよくわかんねぇけど、
まだ結論出すの早いんじゃねーの?」
「え?」
「だーかーらー!
諦めんの早すぎなんじゃねーの⁈
っつってんだよ!
”諦めたらそこで試合終了だ”
って言うだろ?」
…‼︎
「それ…バスケ漫画じゃなかった?
バレー部いいの?」
わたしは思わず吹き出してしまった。
「いいんだよ。
名作は種目なんて関係ねーかんな!
つぅか…」
「…?」
「やっと笑ったな。」
「…っ⁈」
「じゃ、オレは教室行くから、
おまえは保健室行けよ?」
「あ…ありがとう‼︎」
「おう。」
そうだ…そうだよね。
わたしは花巻くんに告白していないし、
ちゃんとフラれたわけじゃない。
岩泉くんに励まされて少し元気が出た。
でも、泣き顔のまま教室には行けなくて、
やっぱり岩泉くんの言う通り、
わたしは保健室に行った。