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〜Lemon Candy Story〜

第23章 -キス-(花巻貴大)


ウチは及川もいるし、岩もいる。
他にも目立つ奴はいっぱいいるのに、
いつも一生懸命、
オレを観てくれていると思うと、
ほんとに嬉しかった。


しかも、明後日の練習試合の日は、
オレの誕生日だった。


去年散々すみれちゃんに
誕生日をアピールして
シュークリームをもらったから、
今年はアピールはしていない。


…‼︎
って、シュークリームで思い出した!


「すみれちゃん‼︎」


「なぁに?」


すみれちゃんは、
ぐんぐんヨーグルトを飲み、
オレを見上げた。


「シュークリーム‼︎」


「え?」


「なんで昨日岩に
シュークリームあげたの?
オレも食べたかったー。」


「あぁ‼︎そのことかぁ。
昨日シュークリームできた時に
岩泉くんが家庭科室の前通って、
おなかすいたって言ってたから…」


すみれちゃんは帰宅部だけど、
お菓子作りが好きで、
家庭科部に混じって、
家では作れない大掛かりなもんとかを
たまに学校で作っていた。


その”大掛かりなもん”のひとつが
シュークリーム!


なんでも、家のオーブンだと、
火力が弱くてうまく作れないらしい。


作る日はいつもオレに予告して、
部活後に差し入れしてくれてたのに…。


昨日、部室で岩泉が
シュークリームを食っていた。


『あ!岩!シュークリームじゃん!
つぅか…それ…』


『あぁ。さっき檜原にもらった。』


淡々と言う岩に、
オレだけじゃなかったんだと思うと、
なんとも言えない気持ちになった。


「昨日は急に1年のコたちに
教えてほしいって頼まれて、
急遽作るコトになったから、
あんまり数もなくて…。」


「…。」


オレはつい黙ってしまう。


「花巻くん?」


「…。」


「ごめんね。
…そんなにおなかすいてたの?」


「…っ⁈はぁぁ。」


「な、なんでため息⁈」


すみれちゃんはポカンとしてるが、
オレの気持ちは
やっぱ通じてないのかと思うと、
ため息のひとつも出るって。


「すみれちゃんて岩のコト好きなの?」


「えっ⁈な…なんで⁈」


「いや…なんとなく。仲いいし。」


すみれちゃんは北一出身。
岩とは中学から同じで、
女のコとあまり喋らない岩泉も
すみれちゃんとは喋る。


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