第23章 -キス-(花巻貴大)
昼休みになり、
オレはぐんぐんヨーグルトを買って、
すみれちゃんが待つ屋上へ向かった。
この時期の屋上は寒いから、
めったに人が来ない。
それでも、たまに人はいるが、
今日はオレたち2人だけだった。
「すみれちゃん♪」
「ひゃっ⁈冷たーい‼︎」
オレが後ろから、
すみれちゃんのほっぺに
ぐんぐんヨーグルトをくっつけると、
すみれちゃんは可愛く反応して、
オレを見上げた。
「わぁい‼︎ありがとう‼︎やったぁ♪」
「いや、オレこそノートサンキューな。
助かったわ。」
「どういたしまして♪」
「つか、冷たいのでよかったの?
寒くない?」
「うん!コレ、大好きだから♪
花巻くんも座ったら?早く食べよ♪」
すみれちゃんと並んで座ると、
すみれちゃんは、
自分に掛けてたひざ掛けを
半分オレにも掛けてくれた。
「(ドキッ…)オレに掛けたら、
すみれちゃん、寒くなんだろ?」
オレは胸の高鳴りを隠しながら、
ひざ掛けをすみれちゃんに掛け直した。
「大丈夫だよ♪
それに2人のがあったかいよ?」
そう言ったすみれちゃんは、
もう1度オレにひざ掛けを掛けた。
「…っ‼︎じゃ、お言葉に甘えて。」
オレは少しすみれちゃんのほうへ寄り、
買ってきたパンを出した。
オレはさっきから普通にしてるけど、
ドキドキすんのがおさまらない。
つぅか、そんなんされたら、
オレ…期待しちゃうじゃねーか。
オレがちらりとすみれちゃんを見ると、
すみれちゃんは、
オレの気持ちなんて知る由もなく、
美味しそうにオレが買ってきた
ぐんぐんヨーグルトを飲んでいた。
「あ!そういえば!」
すみれちゃんがおにぎりにパクつきながら、
聞いてきた。
…っ⁈かわいい‼︎…って、ちげぇ‼︎
「ん?」
オレは冷静を装い、すみれちゃんを見た。
「明後日の練習試合、相手校決まった?」
「あぁ…○○〜。」
「○○かぁ。強かったっけ?」
「まぁまぁかな。
すみれちゃん応援来てな?」
「うん‼︎」
すみれちゃんは試合のたびに
あの時のプレイがすごかった‼︎とか、
いつもオレを観ていてくれた。