第23章 -キス-(花巻貴大)
-花巻side-
「おはよーすみれちゃーん」
朝練が終わって教室に行き、
オレは真っ先に
すみれちゃんの席に向かった。
「おはよう♪貴大ちゃん♪」
すみれちゃんは笑いながら、
ふざけてオレの下の名前でこたえた。
オレはそれだけで嬉しかった。
すみれちゃんの前の奴はまだ来てなくて、
オレはその席に後ろ向きで座って、
すみれちゃんを見つめた。
「どしたの⁇朝練キツかった⁇」
ジッと見つめつづけても、
すみれちゃんはキョトンとしている。
はぁ…。
けっこう自信あんのに、
すみれちゃんだけは…
2年たってもダメだった。
及川ほどじゃねぇけど、
オレもまぁそれなりにモテる。
ちょっと見つめたら、
頬を赤らめて照れてくれる
女のコだっている。
でも、すみれちゃんだけは
見つめても何しても
オレになびかなかった。
「朝練はキツくねーよ。
いつも通り。」
「じゃあ、どうしたの?
2限の英語の課題?」
「あっ‼︎」
「しょうがないなぁ。はい!」
「すみれちゃ〜ん‼︎
サンキュー‼︎マジ助かる‼︎」
すみれちゃんが
英語のノートを貸してくれた。
「どういたしまして♪
ぐんぐんヨーグルトで手を打とうかな♪」
「げっ‼︎」
「席つけー!HR始めんぞー!」
「わかったよ。じゃ、昼休みな。」
担任が来たので、
オレはすみれちゃんの頭を
ポンポンとして、
ノートを持って自分の席に戻った。
ま、予定外の出費だが、
さりげなくすみれちゃんと一緒に
昼飯食う約束もできたし…いっか♪
あ!つぅか、肝心なコト聞けなかった!
まぁ、それも昼休みでいっか。
オレはちょっとテンションあげて、
席についた。
すみれちゃんの席は窓側の1番後ろ。
オレの席は廊下側の1番後ろ。
だから、知らなかった。
オレが席に戻ってから、
本当はすみれちゃんが
頬を赤らめていたコトを…。