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〜Lemon Candy Story〜

第22章 -名刺-(月島明光)


半分ほど食べた頃、
檜原さんが口を開いた。


「あ、繋心とは
今は付き合ってないですよ?」


「…っ⁈あ、すみません!
変なこと聞いちゃって。」


オレは少し安心して、
味噌汁に手を伸ばした。


ん…⁇今…”今は”っつったか…⁈


「高校生の頃、
付き合ってましたけど。」


「ぶはっ…ゴホッ…ゲホッ…」


「大丈夫ですか⁈お水お水…」


檜原さんは慌ててお手拭きと
水を差し出してくれた。


はぁ…。
時間差で爆弾投げんの、
やめてくれって。


心臓に悪い…。


「そんな驚かなくても…。」


「いや、すみません。
でも、珍しいですね。」


「え…?」


檜原さんは不思議そうに
オレのほうを見ていた。


「いや、別れたあとも、
そんな仲良くできるなんて…。」


「あぁ。まぁ、元々友だちでしたし、
今はいい友だちですよ。」


「ふぅん…そんなもん…ですか?」


「はい…あ、
わたしばっかり、そんな話して、
恥ずかしいじゃないですかっ。」


檜原さんは気付いたら、
顔が赤くなってきていて、
お水を一気飲みした。


「そういう月島さんはどうなんですか?」


「ボクですか⁈」


「はい。彼女いらっしゃるんですか?」


今度はオレが聞かれてしまい、
思わず面食らうが、
そこはもちろん正直にこたえる。


「いないですよ。
いるわけないじゃないですか。」


「またぁ。月島くんもモテるし、
月島さん、ウチの会社でも、
人気ありますよ?」


「ほんとですか〜?
そんなコト言われたら、
あと1ヶ月は仕事頑張れます(笑)」


もし、本当に人気があるのなら、
檜原さんだけでいいのだが…
そうとは言えず、冗談ぽく返すと、
檜原さんは笑っていた。


「って、ほんとに彼女いないです。」


「そうなんですか?」


「はい。でも、やっぱり”月島くん”と
”月島さん”だと紛らわしいですね。」


「ふふ…わたしも自分で言って、
そう思いました。」


そこで2人同時に吹き出してしまった。


「じゃあ、ココは蛍じゃなくて…」


「…?」


「2人の時はオレのほうを
名前で呼んでくれませんか?」


取引先の方なのに、気付いたら、
オレは素で話してしまっていた。


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