第22章 -名刺-(月島明光)
「って、なんだよ?檜原ちゃん、
今日は男連れかー?やるなぁ。」
…っ⁈
「えっ⁈ち…ちがっ…‼︎
取引先の方で…。もう‼︎店長っ‼︎」
そんな全否定しなくても…。
「ははっ。からかいすぎたな。
そっちの奥の席どうぞ。」
檜原さんと向かい合って座る。
小さめのテーブルで、
普段より檜原さんと距離が近いので、
オレは少し緊張してしまう。
「なんかすみません。
店長いつもからかうんです。」
「いえ。常連なんですか?」
「はい。
新人の時に先輩に教えてもらってから
ハマっちゃって。
あ、なににしますか?」
檜原さんがメニューを見せてくれ、
オレは檜原さんオススメの
エビフライ定食を注文した。
「それにしても、
こないだは本当にビックリしました。」
定食がくるまでの間、
やっぱり檜原さんとの会話は、
先週会ったことだった。
「本当ですね。
打ち合わせ中はさすがに
このお話はできなかったから。」
「ですねぇ。蛍はちゃんと
皆と仲良くやってますか?」
「え?」
蛍のコトを聞くと、
檜原さんはキョトンとしていた。
「ほら、あいつ捻くれモノでしょ?
口も悪いし…大丈夫かなって。」
「あぁ。大丈夫ですよ。
なんだかんだで皆と仲良くしてますし、
先輩たちも気にかけているみたいだし。
部活の雰囲気はとてもいいですよ。
繋心…あ、コーチなんですけど…
繋心も期待してるみたいですよ。」
…‼︎
”繋心”…。
たしか烏養監督のお孫さん…
だったよな。
「あの…」
「なんですか?」
「烏養さんと…
付き合ってるんですか?」
「えぇっ⁈」
檜原さんは目を見開いて驚いていた。
「あ…急にすみません。
なんか…下の名前で呼んでるし、
土日返上してバレー部も…
烏養さんの手伝いしてるって
言ってたから。」
オレはこの間会った時に
気になっていたコトを聞いた。
が、そこでちょうど、
エビフライ定食が運ばれてくる。
「お待ちどうさん。ごゆっくり。」
「食べよっか。」
「は、はい。いただきます。」
2人で定食を食べ始める。
「うまいっ!」
「でしょ?」