第21章 -花束-(岩泉一)
「あーあー!
えっと、新郎の花巻です!
今日はオレたちのために
ありがとうございます!
って、固い挨拶は、
もうちょっとあとでー♪」
及川からマイクを奪った花巻が、
饒舌に話し始めた。
「このスクリーンに映ってる、
昼間ブーケゲットしたのは、
オレの高校時代からの悪友の
岩泉ってヤツなんですが〜♪
今、ブーケゲットしたの、
なんと‼︎岩泉の彼女です!」
うわぁぁ…っと歓声と拍手…
「おい⁈花巻、何を⁈」
「は…花巻くん⁈」
オレとすみれは慌てていたが、
花巻と花巻の嫁さんは余裕の笑みだ。
「たぶんこいつら、
オレらに続くと思うのでーー♡」
「「…⁈⁈」」
「オレとちえりの愛は、もちろん永遠だし♡
オレらの幸せオーラ、
しっかり受け取れよ!
あ、もちろん、
ブーケゲットしてないヤツらにも
幸せ分けるので〜♡」
「マッキーのろけすぎー!」
「ラブラブアピールすんなー!」
及川たちのツッコミと、
大きな歓声が湧き上がった。
「じゃ、写真撮ろうか☆
ほら、岩ちゃんもだよー!」
結局オレも入るコトになり、
花巻夫妻と4人で写真を撮った。
「花巻ー‼︎幸せかぁ⁈」
少し酔った男が、
大きな声で花巻に呼び掛けた。
「あたりまえだろー⁈」
「よーし!じゃあ…キース♪キースっ♪」
突然のキスコール。
いつのまにか全員からのコールとなり…
「よし、ちえり!見せつけっか♪」
「ちょっ…」
…チュ♡
「「「きゃーーー♡」」」
花巻はスッと嫁さんにキスをして、
また歓声が湧き上がった。
「よし!岩泉‼︎つづけー‼︎」
「「…⁉︎」」
「はい♪岩泉とすみれちゃん‼︎
キース♪キース♪」
花巻が音頭を取ると、
今度はオレたちにキスコールが…
「おい⁈おまえの二次会だろうが‼︎」
「だからだろー?盛り下げる気か?」
「…⁉︎」
「花巻くん…ちえりちゃん…」
「すみれちゃんたちが、
わたしたちのブーケをきっかけに
幸せになってくれたら嬉しいな♡」
「「…⁉︎」」
「すみれ…」
…チュ♡
「「うわぁぁ…♡」」
花巻の嫁さんのことばに押され、
オレは皆の前ですみれにキスをした。