第21章 -花束-(岩泉一)
「はぁい♪皆、準備はいいかなー?」
及川の掛け声で、
花巻の嫁さんがブーケを持つ。
花巻は嫁さんを支えるように立っていた。
「それでは、いくよーー♪」
…??
国見がすみれに何か耳打ちしている。
国見が離れると、
すみれは少し後ろに下がった。
「じゃあ、せーのっ♡」
…ポーン
…パサッ。
「あ…。」
「今度こそ女のコが取りましたね?
取ったコ、どうぞ、前においでー♡」
及川の位置だと、
ちょうど死角になっていて、
及川は誰がブーケを取ったのか、
まだわかっていなかった。
後ろのほうからブーケを持って、
おずおずと前に進み出たのは、
すみれだった。
「うぉーっ!すみれちゃんじゃーん!」
「すみれちゃん、よかったぁ♡」
すみれが前に行くと、
花巻たちは興奮していた。
「え⁈すみれちゃんだったの?」
「すみれちゃん、すげぇなぁ。」
及川と松川は2人でポカンとしていた。
「あ、えっと…
国見くんの助言のおかげかな?」
「国見ちゃん?
あ、それより、進めなきゃだよね。」
及川はまたマイクを持って話し出す。
「はーい☆
今回ブーケをゲットしたのは、
正真正銘女のコで及川さんも安心☆
じゃあ、また記念撮影しよーかー?」
さっきのオレのように、
花巻夫妻の間にすみれが入る。
ブーケを持ったすみれは、
とても可愛くて、
嬉しそうにニコニコしていた。
すみれたちの周りで、
皆スマホやらカメラを構えて
集まっていた。
オレもすみれを撮ろうと、
スマホを持ってその集団の中へ行くと、
花巻と目があった。
「あ!岩泉も入れよ!」
「は⁈おい、花巻なんで…」
オレは花巻に手を引かれ、
すみれの横に連れてこられた。
「及川ー!な、さっきのヤツ♪♪」
「あぁ♪了解☆」
「まっつーん!
さっきのもう1回映してー!」
「もう準備できてるぞー。」
な…なんなんだ⁈
こいつらの連携プレー。