第21章 -花束-(岩泉一)
「え〜?じゃあ、皆、
新郎の高校のバレー部の
お友達なんですねぇ♡」
「そうそう‼︎みーんなバレー部♪
キミたちは新婦さんのお友達?」
はぁぁ…。相変わらずだな…。
気がついたら、オレたちの横で
及川が女に声を掛けられていて、
オレらの周りには及川のせいで
女が集まっていた。
金田一は固まってるし、
松川は適当に話を合わせ、
国見はいつのまにか消えていた。
「で、この無愛想なのが、岩ちゃん‼︎」
「…おいっ‼︎」
突然及川に前に押し出されてしまう。
「あ♡ブーケ取ってた人ですか?」
「そう!よくわかったね!」
「おいっ‼︎クソ川‼︎
てめぇ、準備しろって!」
オレは及川の腕を引き、小声で言う。
「えー?もうほとんど終わってるし、
すみれちゃん来るまで、
いーじゃーん☆」
「ブーケどうしたんですか〜?
わたし、ほしいなぁ♡」
ブーケに食いついてきた女が、
ずっと話し掛けてくるが、
オレとしてはそれどころではない。
「クソ川!どうにかしろよ。」
チョンチョン…
「おいっ!」
チョンチョン…
「あんっ⁈…⁈」
腕をチョンチョンと触られていたのに
気付いて振り向くと、
苦笑いして固まっている
澤村と菅原に東峰…
そして、ニッコリ笑顔のすみれがいた。
笑顔とはいえ、ヤバいほうの…。
「楽しそうだね♡」
げ……。
つぅか、オレ、被害者だっつぅの!
「とりあえず、
来たよって顔見せに来ただけ。
大地、ドリンクもらいに行こ!」
「えっ⁈おい⁈すみれ…岩泉が…」
澤村はオレに目配せしながら、
すみれに引っ張られていった。
その様子を見たしつこかった女は、
いつのまにか退散していた。
「よ…よう。」
「久しぶりだな。」
菅原と東峰が気まずそうに
声を掛けてくる。
「おう。」
「檜原もほんとは
わかってると思うぞ?」
「…あぁ。わりぃな。
オレも行ってくるわ。」
とりあえず…あいつの機嫌…
直さなきゃな。
「及川っ‼︎」
…ギロッ
「…っ⁈う…うん‼︎了解☆」
オレは及川を睨みつけ、
目線だけで、残りの準備を言い渡し、
すみれを追い掛けた。