第21章 -花束-(岩泉一)
入口近くのバーカウンターへ向かうと、
すみれと澤村がドリンクの列に
並んでいるのが見えてきた。
すみれは今日は、
ミントグリーンのドレスを着て、
髪をアップにしていて可愛らしかった。
すみれと澤村は、
何やら楽しそうに話していて、
すみれは終始笑顔だった。
………。
今さら澤村に妬くのもなんつぅか…
わかってはいるけど、
久々に2人でいるトコを見ると、
つい気にしてしまう。
2人とも昔から
「従兄弟同士だから、兄妹みたい」
って、言っていたのにな。
こういう時、
まだまだだな…と思ってしまう。
「な、あのコ可愛いな♪」
「ん?ミントグリーンのドレスのコ?
お♪可愛い♡でも、男といるじゃん。」
「友だちかもしんねーべ?
あとで声掛けてみようぜ。」
…⁈
人の間を通り抜けていたとき、
男二人組のことばに、耳を疑った。
そいつらの視線の先…
ミントグリーンのドレスって、
すみれじゃねーか!
…っ‼︎
オレはついそいつらを
キッと睨みつけてしまう。
「「…⁈(なんだ、こいつ⁈)」」
はぁぁぁ…ますます気が抜けねぇ!
オレは急いですみれの元へ向かった。