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〜Lemon Candy Story〜

第20章 -名前-(岩泉一)


「すみれー!おせぇぞ‼︎」


「ごめんごめん!
じゃ、岩泉くん、及川くん、またね!
バレー部も頑張ってね!」


部室棟に着くと、
檜原はバスケ部の奴らに呼ばれて、
すぐにそっちへ行ってしまった。


「あ!また汚してるー!もう‼︎」


「すみれ⁈
着替えてる奴いんだから、
まだ部室入んじゃねーよ!」


「そんなの今更でしょー⁈」


男バスの部室は、
ウチの部室の隣なので、
声の通る檜原が部室にいる時は、
たまに声が聞こえてくる。


そのたびにウチのマネージャーだったら
よかったのに…と思ってしまう。


「すみれちゃん、
ウチのマネージャーだったら、
よかったのにねー。」


そんなオレの気持ちを読んだかのように、
部室に入りながら及川が言う。


「あん⁈うっせーよ、クソ川‼︎」


「ひどい‼︎オレは岩ちゃんの
気持ちを代弁してあげただけなのに!」


「及川、今度は何言ったんだよ?」


たいして気にしてないのが
丸わかりだが、部室に入ると、
花巻と松川が先に着替えていて、
花巻が”一応”聞いてくる。


「悪いのは岩ちゃんだよー!
すみれちゃんのコト、
素直にならないからー。」


「はっ⁈」


いや…話ちげぇだろ⁈


「あー。それなら、
案外及川悪くねぇかもなー。」


シャツを脱ぎながら花巻が頷く。


「おいっ‼︎何がだよ⁈」


「いや…なんつぅか…なぁ?」


「「「(おまえら、じれったい…)」」」


3人が顔を見合わせてから、
ため息をついて、オレを見る。


「なんなんだよっ⁈」


「ま、オレらもついに3年だし?」


ポン…


着替え終わった松川が、
オレの肩を叩いてドアへ向かう。


「岩泉もそろそろ男になれよー?」


ポン…


同じように花巻も、
オレの肩を叩いてドアへ向かう。


「岩ちゃん、頑張ってー☆
じゃないと、及川さんが
すみれちゃん、もらっちゃうよー♪」


な…っ⁈


及川もオレの肩を叩いて行こうとしたが、
オレはそれだけは阻止して、
及川にだけは回し蹴りを決めた。


「痛い!痛いよ、岩ちゃん‼︎」


つぅか…オレだって…
そんくらいわかってる…。


名前の呼び方くらいで…
部活違うくらいで…
遅れとってらんねーっつぅの。

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