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〜Lemon Candy Story〜

第19章 -本音-(東峰旭)


旭くんは繊細なコ…
人一倍…人の気持ちに敏感なんだなぁ。


でも…


「ありがとう。
まだ体が新生活に慣れてなくて、
疲れてただけだよ。年かなぁ?」


旭くんもいろいろ悩んでいるのに、
わたしの話まで
聞かせるわけにはいかない。


「すみれさん…
本当に大丈夫ですか?」


そう思って、
わたしは笑ってごまかしたのに、
旭くんは信じていないようだった。


「大丈夫だよ。
旭くんとラーメン食べて、
体もすっかり元気になっちゃった!」


旭くんを少しでも安心させたくて、
わたしはとびきりの笑顔を作る。


「…っ⁈(か…かわい…っ…)」


「…?旭くん?」


旭くんに笑いかけたのに、
旭くんは固まってしまった。


そんなに笑顔こわばってたかな…。


「やっぱりすみれさんは…
大地のお姉さんですね。」


「え…?」


「大地も…変なトコ抱え込むっていうか…
あいつはしっかりしてるから…
なるべく人に迷惑かけないように、
自分で解決しようとしちゃうんです。」


「そう…。」


「すみれさんも同じだ…。」


「え…⁈」


「オレが…年下だから遠慮してますか?
大地の…弟の友達だから…?」


「旭くん…」


「そんなの気にしないでください。
オレでよかったら、話聞きますから。」


「でも…」


「誰かに話すだけで、
気持ちって軽くなるでしょ?
今、すみれさんがしてくれたコトと、
同じコトです。」


…ギュ。


「旭くん…⁈」


突然旭くんが、
わたしの手を握ってくれた。


「あのね…わたし…」


旭くんの手の温もりから感じる
優しさに負け、
わたしは枷が外れたように、
少しずつ…自分の気持ちを話した。




会社で何をやっても
空回りしてしまうこと…
同期の皆は、
もっとうまくやっているのに、
わたしばかり失敗してしまうこと…
他にも…人付き合いが難しかったり…
上の人には常に笑顔…
同期だからという理由だけで、
お昼休みまで、
ずっと一緒にいなきゃいけない…
仕事しに来ているのに…
でも、その仕事がうまくできなくて…




旭くんはわたしの脈絡のない話を、
ずっと黙って聞いてくれていた。


「全部…吐き出せましたか?」


わたしが一気に喋り終えると、
旭くんはニコリとして言った。

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