• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第19章 -本音-(東峰旭)


「あはは…わかるわかる!
大地、たまにお父さんみたいに
わたしのこと怒るもん。」


「はは…っ。想像つきます。
でも…」


…?


旭くんはそこで一呼吸置いて、
また喋り出した。


「大地は…すごいいい奴です。
バレー部のことやオレのことまで…
周りをよく見ていつも皆のことを
考えてる…」


…‼︎


「そうなんだ…。
弟のこと褒められると…
なんだかわたしまで嬉しいな。
でも、それはきっと旭くんたちが、
大地のことを支えてくれてるからだよ。」


弟で…身内の欲目と言われれば
それまでだけど、
大地は人一倍責任感強いし、
周りをよく見ているコだと思う。


姉のわたしが言うのもなんだけど、
大地は自慢の弟だ。


でも、大地は友だちに…
仲間に恵まれているんだなと思う。


こんなにも大地のことをわかってくれて、
支えてくれる旭くんたちがいるんだもの。


「スガは…そうかもしれないけど…
オレは何も…」


「…?旭くん…?」


旭くんはとても苦しそうな表情をしている。


「3月にあった県民体育大会…
オレたちが負けたの…知ってますか?」


「あ…うん。」


たしか…伊達工って…トコに…


「あの試合負けたの…
オレのせいなんです。」


「…⁈旭くん…?」


旭くんは俯いて…
でも、拳をギュッと握っていた。


「オレのスパイクが…
徹底的にブロックに止められて…」


「…⁈でも…それってバレーじゃ
誰でもあることだし…」


「最初は…オレもそう思ってました。
でも…」


旭くんは辛そうに、
もう一度拳をギュッとした。


「トスを呼ぶのが怖くなったんです…」


「…‼︎旭…くん…」


「だから…負けました。
オレは…烏野のエースだったのに…。
だから、セッターであるスガにも、
リベロである西谷にも…
合わせる顔が無いんです…。」


「旭くん…でも…」


「お客さん、すみません、
混んできたので、
食べ終わったら…いいかい?」


…‼︎
おじさんに言われて入口を見ると、
いつのまにか列ができていた。


「「ごちそーさまですー!」」


慌てて旭くんとお店を出て、
そのまま歩き出す。


「旭くん…さっきの話だけど…」


「…?」


「誰も…旭くんのせいだなんて、
思ってないと思うよ?」

/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp