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〜Lemon Candy Story〜

第19章 -本音-(東峰旭)


そのまま家に帰り、
夕飯とお風呂も済ませ、
ビールを一口飲んだところで、
やっと大地が帰ってきた。


「おかえりー。」


「姉貴⁈ビールなんか飲んで
大丈夫なのか?」


わたしはあまりお酒に強くない。
それを知ってるからって、
”おかえり”の返事が心配って…。


「もう成人してますー。」


「はぁ…そういう問題じゃなくてだなぁ。」


「もう。大地、お父さんみたい。
わたしだってたまには
ビールくらい飲みたいのー。」


大地はわたしの弟のはずだが、
たまに本当は、
大地がお兄ちゃんなんじゃないかと
錯覚してしまう。


「はいはい。
まぁ、姉貴弱いんだから、
1本にしとけよ?」


「はーい。」


もう一口飲んで、
ご機嫌で返事をしてしまう。


「…ったく。大丈夫か?
つか、今日早くない?」


「大地が遅いのよ。今日も自主練?」


バレーに夢中で時間の感覚が
すっかりなくなっている弟に、
思わず苦笑いしてしまう。


「あぁ。
今年は面白い1年も入ったし…」


そうこたえる大地は、
ニカッと笑っていて、
一見いつも通りだった。


でも、うまく言えないけど、
やっぱり何かがいつもと違う。


「あ…そういえば…」


「ん?なんだ?」


余計なお世話かもしれないけど、
やっぱり気になってしまったので、
わたしはさりげなく
大地に聞くことにした。


「帰りに旭くんに会ったよ。」


「…‼︎」


大地は旭くんの名前に
一瞬反応していた。


「相変わらず、旭くんは大きいね。」


「旭…何か言ってた?」


しばらく黙っていた大地が、
ボソッと聞いてきた。


「ううん。何も。
一緒に帰ろうと思ったら、
フラれちゃった。」


「なんだよ、それ?」


わたしがわざとおどけて言うと、
大地は怪訝そうな顔で聞いてきた。


「今日は用事ある…って。
なんか元気なかった…かな。」


「…そっか。ま…ちょっと…
あいつも色々あってな。」


「色々って?」


「……。
つぅか、姉貴!顔真っ赤!
もうやめて部屋戻れって。な?」


「あ…ちょっ…」


まだほとんど飲んでいないのに、
大地に缶ビールを奪われ、
そのまま支えられて、
部屋に強制連行されてしまう。


大地は結局はぐらかしていたけど…
2人とも…大丈夫かな…。

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