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〜Lemon Candy Story〜

第19章 -本音-(東峰旭)


はぁぁ…疲れた…
なんでこんなに
うまくこなせないんだろう…


新入社員だからって
甘えてられないのに…
いつも空回りして失敗してしまう。


他の同期はもっと
しっかりしているのに。


会社…ヤダな…。
まだ1ヶ月もたってないのにな。


まだ新人なので、定時であがり、
暗い気持ちで電車に乗る。


地元に着くと、
まだ学生がたくさんいた。


烏野のコもけっこういる…。


懐かしいな。


毎日弟の制服姿を見てるとはいえ、
やっぱり懐かしい。


「あれ…?」


たくさんの学生の中に、
知っている背中を見つけた。


周りより頭ひとつ飛び抜けて大きくて、
身体も大きい…


「あーさーひーくんっ!」


「おわっ⁈えっ⁈あ…すみれさんっ⁈」


後ろから旭くんの背中を
ぽんっと叩くと、
大きな身体に似つかない反応。


相変わらずの反応で、
思わずクスクス笑ってしまう。


「久しぶりだねー。
今日は1人?大地とスガくんは?」


旭くんを見つけて、
わたしは暗い気持ちを切り替える。


旭くんは、
わたしの弟…大地の友だち。


だいたいいつも一緒にいるのだけど…


「いや…その…」


…?


あれ?そういえば…旭くんの荷物…
普通のスクールバッグだけ?


部活の荷物がない。


「もしかして、怪我⁈
旭くん、大丈夫なの⁈歩ける⁈
荷物、持とうか⁈」


「いや⁈あの…っ…ちが…っ‼︎」


…?


旭くんはビックリするくらい慌てていた。


「怪我じゃないならよかった!」


ホッと安心して旭くんを見上げると、
旭くんは苦笑いをしていた。


「すみません…紛らわしくて…」


本人的には笑顔を作っている
つもりなのかもしれないけど…。


「ん?大丈夫だよ?
旭くん…そこまでい…」


「今日は…ちょっと用事あるので…
失礼します。」


旭くんはわたしのことばを遮り、
そのまま会釈して、
駅のほうへ行ってしまった。


前はよく一緒に帰ってたのになぁ。
やっぱりこんな年上と、
一緒に歩きたくないかぁ…。


また少しだけ暗い気持ちになってしまう。


でも…旭くん、なんか変だった…。


そういえば…
大地もなんかいつもと違うし…。


ケンカでもしたのかな…。

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