第15章 -味見-(花巻貴大)

「つか、種類ありすぎだろ。」


普通のクリームの他に、
イチゴやらバナナ、
他にもマロンやチョコや抹茶…
煎茶⁉︎まである。


「すごーい！煎茶だって！
美味しいのかなぁ？」


「どうだろうなー。
さすがに食ったことねーな。」


「もし、買って美味しくなかったら、
残念だもんね。
お味見できたらいいのにね。」


すみれはオレを見上げて、
同意を求めた。


「んー？そうだなー。」


味見…ねぇ。


オレはシュークリームではなく、
ついすみれを見てしまう。


正確にはすみれの唇を…。


こいつ…キスしたことあんのかなー


「すみれ、買ったー？」


向かいから、
ハミチキを持った及川が来た。


「あ、今から買うよ。ごめんね。」


すみれがレジでキャンディを買い、
コンビニを出ると、
先に出ていた岩泉と松は、
ハミチキを食っていた。


「あー！いーなー！
わたしも買おうかなー。」


「一口食うか？」


そう言って食べかけのハミチキを
すみれに差し出す松…。


「え⁈いーよいーよ。」


少し頬を赤らめて遠慮するすみれ…。


…なんか…モヤモヤする。


「じゃ、すみれ、オレが口移しで…」


「キモ川…キモい。」


「なにそれ⁈岩ちゃん‼︎」


及川のアホ発言に
また岩泉のツッコミが入る。
すみれはそれを見て、
苦笑いをしていた。


「ね、花巻。」


すみれは及川たちを眺めながら、
オレに話しかけてきた。


「なに？」


「皆まだハミチキ食べてるし、
さっきのシュークリーム買って、
はんぶんこしない？」


…っ‼︎


「さっきのって、煎茶の？」


松と及川のは断ったのに、
(まぁ、松のは食べかけとかだし、
及川に至っては論外だけどな。)
オレにはすみれから言ってくれたのが、
すげー嬉しかった。


でも、そんなふうに感じたコトは
バレないように普通に話す。


「うん！お味見♪
1人で食べるのはちょっと冒険だけど、
2人でなら、心強いでしょ？」


「そうだな。じゃ、買ってみるか。」


もう1度コンビニに戻り、
煎茶味のシュークリームを1つ買って、
コンビニの前で開け、半分にする。


「見た目は抹茶っぽいねー。」