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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


すみれはさっきから、
オレを見ようとしなかった。


「はぁ…
おまえ、なんで言っちゃうの?」


つい機嫌の悪い声で言ってしまう。


オレは噴水の脇に座り、
すみれを見上げながら言った。


やっとすみれと目が合った。


「なんでって…」


すみれは困ったように
また視線をそらした。


「オレが”彼氏”だっつったら、
あいつ、納得してたじゃん。
いつもの逆だろ?
それでよかったじゃねーか。」


「そうだけど…」


すみれは何かを
言い淀んでいるようだった。


「金曜日まで彼女作んなっつったの、
すみれだろ?」


「言った…けど…」


「じゃあ、おまえも作んなよ‼︎」


思わず叫ぶように言ってしまう。


「なん…で…?」


「パンケーキ…
食いに行けなくなんじゃねーかよ。」


オレはすみれと同じコトを言った。
オレの気持ちに気付いてほしくて。


「…っ⁈別に…クロさえよければ、
クロに彼女ができても、
パンケーキ食べに行くよ?」


「おまえ、バカか⁈
そういうんじゃねーよ‼︎」


すみれは笑っているけど、
泣きそうな顔をしていた。


「ん…じゃ、パンケーキはいいよ。」


「なんでだよ⁈」


「もう…彼女の”ふり”は…イヤなの‼︎」


すみれは重い気持ちを
吐き出すように言った。


「…⁈」


どういう…ことだ…?


「最初は…ほんとに
クロの彼女になれたみたいで…
嬉しかった。
クロと映画に行ったり
ゴハン食べに行ったりするのも…
楽しかった…」


すみれはポロポロ涙を流しながら、
話し続けた。


「でも…だんだん苦しかった…
皆ちゃんと気持ちを伝えてるのに…
わたしは何も言えないくせに、
ウソの彼女で満足してて…
そのくせいろんなコの気持ちを
踏みにじるコトばかり…」


「すみれ…オレ…」


オレがすみれを苦しめてたのか?
オレがもっと早く…


「クロのコト…好…⁈」


すみれの次のことばがわかり、
オレは先を越されないように
すみれをギュッと抱き締めた。


「オレだって、
おまえのコト好きだよ!」


「え…⁇」


泣き顔のすみれが、
ビックリしたように顔をあげた。

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