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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


加地ちゃんの言った通り、
駅前に行くと、
こないだと同じ噴水のトコロで、
加地ちゃんのいうエースくんであろう
男と、すみれが一緒にいるのを見つけた。


オレはすみれの後ろ側から近づいた。


エースくんは、
加地ちゃんの言うとおり、
いかにもモテそうなヤツで、
2人は何やら和やかに笑いあっていた。


「やっぱり…
笑った顔のほうが可愛いな。」


「え…?」


エースくんは優しい顔のまま、
ジッとすみれを見つめ、
すみれはポーッと
エースくんを見つめ返していた。


「あ…あの…わたし…」


…もう限界だった。


「なーにしてんの?」


オレはすみれの後ろから、
すみれをギュッと抱き締めた。


「クロっ⁈」


当然、すみれは驚いていた。


「なにしてたって…
告白の返事聞いてたんだけど…
キミに邪魔されたトコロ…かな。」


エースくんは冷静に言うが、
不快感満載の表情は隠しきれていない。


「じゃ、キミの告白は失敗だ。
すみれの彼氏はオレだから。」


オレはいつもの逆…
すみれの'”彼氏のふり”をした。


あとで…それを真実にしてやる。
そう決めていた。


「…⁈」


「クロっ⁈何言って…⁈」


「そっか。」


エースくんは弱々しく微笑み、
立ち去ろうとした。


これにて一件落着…そう思った…が…


「ち…違うっ‼︎
クロはわたしの彼氏じゃない‼︎」


…っ⁈


「…っ⁈」


すみれはオレから離れた。


「それって…」


オレが呆然としていると、
エースくんは期待を込めるように
すみれを見ていた。


…ここまで…か。


オレはすみれから目をそらした。


「でも…ごめんなさい。
橋岡くんの彼女にはなれません!」


でも、すみれはエースくんに
頭を下げて、告白を断った。


「ちゃんと言ってくれてありがとう。
でも…そいつが彼氏じゃないんなら、
オレにもまだ望みがあるのかな?」


エースくんはチラリとオレを見て、
そのまま去っていった。

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