第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***
「カージちゃーーん!」
オレは女バレ側のコートへ行き、
サーブ練をしていた
加地ちゃんをつかまえた。
「なーーにーー?」
加地ちゃんはすみれよりも
サバサバしている。
でも、彼氏にはベタ甘だと、
以前すみれが言っていた。
「すみれはーー?」
そして、なぜだか、
すみれがらみだと
いつも語尾を伸ばしながら、
オレと加地ちゃんは話す。
「んー?知りたーいー?」
そう言った加地ちゃんは、
バシッとサーブを決めた。
「ナイッサー!おう。教えてーー。」
サーブを1本打った加地ちゃんは、
またボールを持ちながら、
とんでもないコトを言った。
「告白の返事しに行ったー。」
「へー?誰にー?オレー?」
「橋岡くんー♪」
…⁈
オレの冗談に、加地ちゃんは、
オレの知らないヤツの名前を言った。
「誰にだよ⁈聞いてねーぞ!」
思わず加地ちゃんの肩を掴んでしまう。
「すみれがクロに
言えるわけないでしょ?」
「…ってぇ‼︎」
冷静な加地ちゃんに足を踏まれ、
オレは加地ちゃんの肩をはなした。
「あのコ、押しに弱いけど、
変なトコ頑固だし…。」
加地ちゃんはいつのまにか、
語尾を伸ばして話すのをやめていた。
「…それは知ってるけど。
つーか、誰⁈ウチの学校のヤツ⁈」
オレはじれったくて
加地ちゃんを急かした。
「サッカーでは有名かな…。
音駒東のサッカー部のエースくん。」
「な…っ⁈」
「ちなみにエースくんは女子人気高いよ。
王道の爽やかイケメン♪♪」
…マジかよ⁈
「もう一つ言うと、すみれって
ずーっと彼氏いないだけで、
何気にモテるからね?」
追い打ちをかけるように
加地ちゃんが言う。