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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


明日はやっと金曜日。
すみれとのデートの日だ。


”報酬”だろうがなんだろうが、
やっぱり好きなヤツと
一緒にいられるのは嬉しい。


オレは朝からテンションが高かったが、
すみれは朝から浮かない顔をしていた。


浮かないっつぅか、ぼーっとしていて、
朝練も集中していなかった。


昼休みになっても、
すみれはぼーっとしていて、
いつもは加地ちゃんたちと
昼メシ食ってんのに、
1人で席で弁当を出していた。


「おーい?すみれー?」


「…。」


すみれの向かいの席に座り、
すみれを呼ぶが反応がない。


「すみれちゃーん?
卵焼き、食っちまうぞー?」


そう言ってすみれの大好きな
卵焼きを1つ掴む。


「…あ。」


「んっ。相変わらずうめーな♪」


オレが口に入れたトコロで、
すみれはやっと反応したが、
いつものように怒らない。


いつもならすごい勢いで怒るのに…。


「すみれ?熱でもあんのか⁈
マジでどーしたんだよ?」


オレは自分のおでこを
すみれのおでこにコツンと当てた。


「…っ⁈」


「熱は…ねーみたいだな。」


すみれのおでこは熱くはなかった。


「な…ないよっ。どうしたの?」


すみれがようやく喋りだした。


「どうしたの?って、
こっちのセリフだっつーの。
朝からぼーっとしてやがるし!
具合悪いんなら、
明日延期したほうがいいかと思ってよ。」


すみれはオレを見上げて、
ポカンとしていた。


「ん?どした?」


…忘れてたか?


まぁ…すみれにとっては…
そんな楽しみでもねーのかもな…。


「あ…あのねっ‼︎」


「なんだ?」


思わずすみれをジッと見つめる。


「…ううん。なんでもない。
具合も悪くないから大丈夫だよ。
それより!卵焼き‼︎食べたでしょー⁈」


「は⁈今更かよ〜。変なヤツー。」


すみれは何かをごまかして、
明らかに無理矢理、
テンションをあげていた。


結局ちゃんと
すみれと話せないままだった。


オレは部活後にすみれを
つかまえるつもりでいたが、
自主練の時間になると、
すみれはもういなかった。


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