第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***
「でも、金曜日までは
”彼女”作らないでね?」
オレが拗ねたようにしていると、
突然すみれが言った。
「なんでだよ?」
「パンケーキ…
食べに行けなくなっちゃうじゃない。」
…っ⁈か…可愛い。
少し恥ずかしそうに言うすみれは
ほんとに可愛かった。
あぁ…このまま抱き締めて、
オレのモノにしてしまいたい。
「…‼︎ははっ。へいへい。
了解しましたよー。」
だが、もちろんそんなコトはせず、
ちゃんとすみれの家まで送り、
名残惜しいがすみれの手をはなした。
「ありがとう。気をつけて帰ってね。」
「おう。」
オレは目に焼き付けるように
すみれをジッと見つめた。
女にしては背の高いほうだが、
オレからしたら、まだまだ低い。
だが、スラッとしてスタイルのいいすみれ。
ふっくらした胸元とクリッとした瞳…
形の良い唇を思わず見てしまう。
「どうしたの?」
「バイバイのチューは♪?」
「しーまーせーんー。」
「ちぇーっ。」
オレが思いつきで言うと、
だいたいすみれに拒否される。
「帰ったらちゃんとメールしてね?」
「…⁈へいへい。」
でも、たまに
こういう可愛いコトを言うから、
オレはすみれにハマりっぱなしだ。
「おやすみ。」
「おう。明日寝坊すんなよ?」
「そっちこそ。」
オレは家に帰って速攻で
すみれにメールをした。
『着いたー♡』
ここぞとばかりに♡マークを入れる。
『無事に着いてよかった♡
今日も送ってくれてありがとう。』
すみれからも♡マーク付きで
返信がきた。
『金曜日は学校終わったら、
ダッシュで行くからなー。』
『うん!でも、クロ、
そんなに甘いの好きだったっけ?』
『早く行って順番並ばなきゃだろ♪
まだ月曜かよー。
早く金曜にならねーかなー。』
パンケーキだろうがなんだろうが、
すみれとデートすんのが楽しみだった。
『そうだねー。
金曜日、楽しみだね♡』
『おう!愛してるぜ、ハニー♡♡』
『愛してるよ、ダーリン♡♡』
すみれはノリで
付き合ってくれてるのかもしんねーが、
オレはすみれとの
この時間が好きだった。