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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


オレの彼女のふりをする

家まで恋人つなぎで送る

次の部活休みの日に報酬を払う


それがいつのまにかできた、
オレの彼女のふりをした時のルール。


報酬とはいえ、金を渡すのではない。


初めて頼んだときに、
『映画付き合ってくれたらいいよー』
そう言ったすみれと、
オレはほんとに映画に行った。


それからは、誰かに告白されると、
すみれとデートするチャンスだと思い、
”報酬”という名のデートをした。


初めて頼んだときは、
特に何も考えてなかったし、
すみれもそんな気負わず、
渋々ではあったが引き受けてくれた。


ボロが出ないように
2人で色々設定を考えた。


すみれと付き合うなら、こうなりたい!


そんなコトを考えながら。


でも、次に頼んだとき、
すみれは乗り気ではなかった。


そんなにイヤだったのか…?


そう思ったが、
オレは今日のように
半強制的に押し切った。


押し切られると
すみれが断れないのはわかっていた。


「なぁ?
すみれんトコも金曜休み?」


「そうだけど?なんで?」


金曜日は体育館点検があった。
オレは最初からその日を狙っていた。


「だーかーらー!
パンケーキ行くんだろ?
体育館点検で部活できねーじゃん?
金曜でいい?」


「あ…うん。」


「なんかさー、オレらって
けっこう恋人っぽいよなー。」


すみれはちょっと上の空だったが、
オレはこの状況に便乗して、
ちょっとだけからかうように言った。


「えっ⁈」


「学校でもけっこう一緒にいるしさー」


すみれはビックリしたように
オレを見上げていた。


「もうほんとに付き合っちまうか?」


オレはその顔を覗き込み、
思い切ってすみれに言った。


でも、断られるコトも踏まえ…
表情は読まれないように…。


「…っ⁈」


すみれは固まっていた。


「はいはい。
早くちゃんと彼女作りなさいよー。」


でも、すみれの返事は
そっけないものだった。


「ちぇーっ。」


ちょっと固まってたし…
もしかしたら…って思ったんだけどな。


顔に出てなくてよかった…。


心底そう思った。


すみれと気まずくなるほうが
耐えられない。

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