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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


駅前に行くと噴水の横に、
朝の女のコがいた。


「この手紙くれたのキミ?」


オレはわかっていたのに、
一応聞いた。


少し離れた所で、
同じ制服の女のコが2人、
こちらを見ていた。


きっとこのコの友達だな。


「は…はい!あ…わたし…」


女のコは顔を真っ赤にして、
オレを見ていた。


「黒尾さんの試合を観てから…
ずっと好きだったんですっ‼︎」


オレはずっと
すみれの手をはなさなかった。


このコもオレの隣にいる
すみれの存在の意味に気づいている。


このコの告白を
断るコトは決めていたが、
オレはこのコを尊敬した。


玉砕覚悟の告白を
オレはもう3年も
できないでいるのだから。


「ありがとう。
でも、オレ、彼女いるんだ。」


オレは申し訳なさそうに
彼女を見てから、
すみれを見つめた。


「あはは…そう…ですよね。
黒尾さんみたいなステキな人なら、
彼女いますよね。急にすみません。
でも…ありがとうございました!
告白…聞いてくれて…。
じゃ、失礼します。」


オレに告白した女のコは、
泣くのを堪えているのに涙は見せず、
ニッコリ微笑んでおじぎをしてから、
友達のほうに走り去っていった。


きっと友達の所で泣くのだろう。


「ふぅ…。今日のコは
すんなりわかってくれてよかったな。」


今日はどうやって
すみれを褒めようか…
すみれの好きなトコロ…
どんなトコを言おうか?


一応考えてたんだけどなー。


「今日のコも可愛いコだったのに…。」


「そうかー?」


すみれは手をはなそうとしたが、
オレはそれを許さなかった。


まだじゃねーか。


ギュッとさらに強くすみれの手を握る。


「まだあの辺にいるだろ?
家までダメ。」


今日だけ言えるオレのワガママ。


「別に家までじゃなくても…。」


「遅いし、送ってくって。
あのコら、つけてくるかもしんねーし、
つーか、いつもそーしてんじゃん。」


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