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〜Lemon Candy Story〜

第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***


「はぁ…
今日でほんとに最後だからね?」


部活終了後、
オレは好きなヤツの隣を歩いていたが、
囁かれることばは甘いものではなく、
ため息をついて、
呆れていることばだった。


「へいへい。わかってるって。」


檜原すみれ。


3年間同じクラスだけど、
まぁ、言うなら、友達以上恋人未満。

いや…未満でもねーか。


普通よりはちょっと仲のいい…
友達ってトコか。


入学式のとき、
オレの左前に座っていたすみれに
オレは柄にもなく一目惚れをした。


しかも運のいいコトに
同じクラスで、
最初の席替えで隣になったうえ、
バレー部でポジションも同じ。


友達になるまでは早かった。


でも、そこから先に進めないまま、
あっという間にもう3年。


彼女いない歴も更新中だ。


「ちゃんと”鉄朗”って呼べよ?」


「わかってるー。」


「オレらは付き合ってー?」


「1年7ヶ月ー。」


すみれに”彼女”の”ふり”を
してもらう時の設定だ。


前回頼んだのは3ヶ月前だったか?


すみれはちゃんと
設定を更新していた。


1年のバレンタインに
オレがしつこく言って、
すみれにチョコをもらった。


そこまではほんと。


そのチョコを受け取るとき、
オレがすみれに告白した…という
ありがちな設定。


でも、ありがちだと思うくせに、
オレは実行できなかった。


「せーいかーい。」


全部ほんとにしてしまいたい。
オレは半分投げやりに答える。


「今回の報酬はー?」


今度はすみれが聞いてきた。


「んー?よし!チューしてやる!」


「…してほしくなーい!
表参道のパンケーキ屋さんでしょ!」


オレがからかうように言うと、
すみれは冷めた目をして拒否した。


「…へいへい。わかってるよ。」


ちぇーっ。


「今回のコ…桜川女子のコだっけ?」


「んー?そうだったっけなー。」


どこの誰かなんて、
そのコには悪いが、興味がない。


オレが好きなのはすみれなんだから。



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