第14章 -彼女-(黒尾鉄朗)***
「なぁ、すみれー!頼むっ‼︎」
朝練終わって着替えてから、
教室に向かうすみれをつかまえた。
今朝もらった手紙…
いわゆるラブレターってやつ。
朝、電車降りたら渡された。
けっこう可愛いコだったけど、
そんなの関係ない。
オレには好きなヤツがいる。
目の前に…。
「またー⁈もうそろそろヤダよー。」
オレの好きなヤツ…すみれは、
ちょっとイヤそうにふくれていた。
「そんなコト言うなよー。
オレとすみれの仲じゃん!」
「…どんな仲よ?」
「ん?あーんなコトやこーんな…
ちょっ…待てって‼︎待て待て‼︎
すみれー!すみれちゃーん‼︎」
すみれはオレを無視して、
スタスタ先を行ってしまう。
オレは慌てて追いかける。
「すみれ、こないだパンケーキ屋
行きたいっつってたよな⁈」
「…‼︎」
お♪反応したな♪
すみれの小さな反応も
オレは見逃さない。
「表参道の‼︎新しくできた店の‼︎
なんだっけ?」
「○○…」
「そう‼︎それ‼︎今回それな‼︎」
「えっ⁈」
「よし‼︎決まりっ‼︎
じゃ、今日の帰り!よろしくな!」
こういうのはスピード勝負。
オレは畳み掛けるように話し、
すみれに反論の隙を与えなかった。
こうしてオレは今日も
すみれに彼女の”ふり”を頼んだ。