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〜Lemon Candy Story〜

第13章 -ふり-(黒尾鉄朗)***


「はぁ…
おまえ、なんで言っちゃうの?」


噴水の脇に座ったクロが
わたしを見上げながら言った。


クロは怒っているような
悲しんでいるような
よくわからない顔をしていた。


「なんでって…」


「オレが”彼氏”だっつったら、
あいつ、納得してたじゃん。
いつもの逆だろ?
それでよかったじゃねーか。」


「そうだけど…」


”ふり”がイヤ…なんてクロに言えない。


「金曜日まで彼女作んなっつったの、
すみれだろ?」


「言った…けど…」


「じゃあ、おまえも作んなよ‼︎」


イライラしたようにクロが言う。


「なん…で…?」


「パンケーキ…
食いに行けなくなんじゃねーかよ。」


…っ⁈


「別に…クロさえよければ、
クロに彼女ができても、
パンケーキ食べに行くよ?」


「おまえ、バカか⁈
そういうんじゃねーよ‼︎」


わたしが笑顔を作って言うと、
クロは怒鳴った。


「ん…じゃ、パンケーキはいいよ。」


「なんでだよ⁈」


「もう…彼女の”ふり”は…イヤなの‼︎」


言わないつもりだったのに、
思わず言ってしまった。


「…⁈」


「最初は…ほんとに
クロの彼女になれたみたいで…
嬉しかった。
クロと映画に行ったり
ゴハン食べに行ったりするのも…
楽しかった…」


一度言ってしまうと止まらない…。


気がついたら、泣きながら、
わたしは喋り続けていた。


「でも…だんだん苦しかった…
皆ちゃんと気持ちを伝えてるのに…
わたしは何も言えないくせに、
ウソの彼女で満足してて…
そのくせいろんなコの気持ちを
踏みにじるコトばかり…」


「すみれ…オレ…」


「クロのコト…好…⁈」


”クロのコトが好き”


そう言おうとした瞬間、
クロに抱き締められた。


「オレだって、
おまえのコト好きだよ!」


「え…⁇」


思わず顔をあげ、
クロを見つめてしまう。

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