第13章 -ふり-(黒尾鉄朗)***
「名前言わなきゃわかんねーか?
すみれが好きっつってんだよ。」
そう言うと、
クロはわたしの頭を撫でてくれた。
「彼女の”ふり”でもいいから…
おまえを繋ぎとめたかったんだよ。」
「クロ…?」
「なんだよ?」
「”鉄朗”って呼んでもいい?」
「あぁ。」
「いつも…だよ?」
「いいに決まってんだろ?」
クロ…鉄朗が…
ギュッと抱き締めてくれる。
「鉄朗…大好きっ‼︎」
「オレもだよ。」
…チュ。
…っ⁈
クロにキスされた。
「明日は初デートだな♪」
「え…?」
「パンケーキ…だろ?」
「うん‼︎」
そう…これからは
彼女の”ふり”ではない。
クロの”彼女”だ。
わたしはそれを実感したくて、
もう一度クロの胸に顔をうずめた。
---End---