第3章 状況
とりあえず、自分が異世界に来た
という事は受け入れよう。
家事もできるから生活には問題ない。
が、しかし。
「あんたはいつまでここにおるつもり?」
そうだ、この男。
この部屋に置かれた必要最低限の
家具のうちの一つである
黒いソファーでくつろいでいる。
さっきは自分が神だとか言って
ツラツラと説明していたが
いつまでここに居座っているつもりだ。
「え?ずっと居て欲しいって?」
語尾に音符でもつきそうな勢いだ。
「は?」
「冗談だよ!だからそんな睨まないで!
ホントはここに居たいけど
僕も一応神様やってるから
仕事ほっぽってくつろいでるわけにも
いかないんだよね〜」
「やったらとっとと帰れ。」
「うわ、辛辣。」
「ねぇ、親は?」
奴の言うことは完全スルーで
ずっと持っていた疑問をぶつけた。
「え、スルー?今スルーしたよね。
いいですけど、べつに。
親は他界しちゃってて希紗は
叔父さんに育ててもらってるっていう
設定になってるから」
何かすごく壮絶な人生だな私。
この年で両親他界で叔父の援助で
一人暮らしかよ。