第8章 教室
「おい。」
先程の男子に声をかける希紗。
「な、何だよ。」
「悪かったな。怒鳴ったりして。」
「いや、別に...こっちこそ、その。」
モゾモゾと何か言いたそうな男子。
「まぁ、そこそこに仲良くやっていこうぜ。」
希紗が少し微笑んでみせると
顔が赤らむ男子。
それを見ていた周りの生徒達も
さっきまでの機嫌の悪そうな顔から一変、あまりにも綺麗な
希紗の笑顔に目をひかれた。
「おまえさん、笑うとなかなか可愛いぜよ。
さっきみたいなおっかない顔はやめときんしゃい。」
仁王が横の席から希紗の顔を覗き込んでくる。
(やっぱツラだけはいいやつやん。
漫画の登場人物ってくらいがちょうどええわ。)
「そらどうも。」
素っ気ない返事を仁王に返しつつイヤホンをつけて
机の上に突っ伏す。
(そういえば、うちの元の世界ってどうなってんだろ。
うちは失踪扱い?死んだ設定?
それとも元々おらんかったことにされちょるのやろか?
テニプリの世界に来たってゆーたら
朱梨は羨ましがるろうな。)
様々なことに思いを巡らせていると
だんだんと眠気が襲ってきて、そのまま眠りについてしまった。