第8章 教室
※夢主視点じゃなくなります
「よーし、みんな今日から3-Bの担任
を受け持つことになった谷崎だ!よろしくな」
入学式が終わり、ホームルームの時間。
担任の挨拶から始まった。
「ところで、新しい学年に上がったにあたり
一人転校生がいるので、みんなに
紹介しようと思う。東堂入ってこい。」
突然の転校生が来るという情報に
教室がザワザワとしだす。
そこにガラッと教室のドアを開けて
入ってくる希紗。
「東堂希紗。よろしく。」
簡潔すぎると言ってもいいほどの
自己紹介だけを済ませた希紗。
「それだけか?他に趣味とか何かあるだろ?」
「趣味はスポーツ。」
「...まぁ、いい!席は1番後の廊下側な!」
席を目で確認すると、その横には
さっきの銀髪、前には丸井が座っていた。
(よりによってあいつらの近くかよ)
希紗は黙って席まで歩いた。
「ねえねえ東堂さん!どこからきたの?」
デレデレとした顔で質問してくる男子を
無視して席に座る。
「おいおいおい、無視ってのはねーんじゃねーの?」
席の横まで来たその男子をさらに無視。
「てめぇ、転校生だからって
調子乗ってんじゃねーぞ!」
思い切り腕を振り上げる男子。
「キーキーうるせーんだよ、タコ。」
ガターン と机が倒れる音と同時に
静かに希紗の声が響く。
「おいおい、そこまでにしろよい。
お前も女に手あげんなよな。」
間に入ったのは丸井だった。
「おまんももうちょい愛想良くできんのか?」
仁王は呆れた顔で希紗を見ている。
「ほっとけ。」
希紗が蹴り倒した机を丸井が直しながら
横で唖然としている男子に席に戻るようにと促している。
教室中がなんとも言えない気まづい雰囲気に包まれた。
「ま、まぁまぁ!みんな新学期早々
険悪なムードは宜しくないな!
東堂も!物に当たるのはよくないぞ!
ここにいる奴らはこれから卒業まで
一緒にやっていくメンバーだ。
馴れ合いをしろというつもりはないが
お互い刺激しあって支えあって実りのある1年にしてくれ!」
担任の機転の利いた一言でその場はなんとか収まった。
(さすがにちょっと言いすぎたか。)