第1章 日常
「ただいまぁ」
家につき玄関を開ける。
お腹がすいていることに気づき
リビングに向かおうとした、その時。
「おっかえり〜!またこんな時間に帰ってきて!
危ないろ!お腹減っちょるろ?
ご飯作っちょるけん食べて!」
希紗と同じようになまった言葉。
時間帯にふさわしくないほどの元気。
「朱梨...。ただいま。」
希紗の妹だ。
「父さんと母さんは?」
「姉ちゃんが帰ってこんけんってもう寝たよ」
帰って来るのを待っていてくれたのか。
希紗は椅子に座って温められた
少し遅い夕飯を食べ始める。
「で、何をそんなに嬉しそうにしよるが?」
妹のおかしいほどのニヤけた顔に
希紗が質問する。
「さすが姉ちゃんよく聞いてくれました!
なんと!!今日、跡部様のキャラソンCD
手に入っちゃったのです!!」
でた。
希紗の妹だけあって朱梨は
綺麗な顔をしている。
料理もできるし、性格も素直で可愛い。
周りから見れば文句なんて
つけるところがないだろう。
が、しかし。
最近はテニスの王子様というものに
ハマってしまったらしく、このように
キャラが歌った歌のCDを
小遣いをはたいてまで買ってしまうほど
熱中している。
「でねでね、とうとうアニメで跡部様の
新技がでたの!!!」
朱梨がこんな調子なので
毎日のように語ってくるので希紗も
内容が軽く言えるくらい覚えてしまったのだ。
「跡部もいいと思うけど、やっぱ仁王やろ。
中学生であんな色気すげぇよ。」
「まさも好きなんだけど、立海だと
ブンちゃんが一番!!!」
「あんなんただのデブじゃん」
横で何やら鳴いているが
そんなことは知らない。
「でもよ、あれでみんな中学生とか
ありえねーだろ。おっさんおるやん」
「それ言うと姉ちゃんも高2には見えんよ。」
確に、希紗も大人っぽい顔立ちと
雰囲気で大人と間違えられることは
少なくはない。
「ごちそうさま。うちは寝る。
跡部もいい加減にして
あんたもはよ寝なよ」
そう言うと希紗はリビングから出て
自分の部屋に行きベットに沈み込んだ。
(風呂...は...朝でえっか。)