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きっと君は

第1章 日常


「はぁ。」
また今日も何度目かわからない喧嘩を売られる。

「おい、東堂希紗!
この間はよくもやってくれたな!
落とし前はきっちりつけてもらうぞ!!!」

集団の先頭にいたリーダーのような男が叫ぶ。

「あ?わりぃ。覚えてねーわ。
私も相手した雑魚のこと覚えちょけるほど
記憶力良くないけんね。」

相手を馬鹿にした薄笑いを希紗の顔は
真夜中の街の路地裏には似つかわしくない
ほど美しい。

「んだと!!!やっちまえ!!!」

この叫びを引き金に男達は襲いかかってくる。

「夜の街には女豹が出るって知らんかった?」


女豹。いつしか喧嘩をしている希紗を見て
誰かがつけた通り名のようなもの。
拳や武器を向けてくる男達を軽くかわし
己の拳を相手に突きつける。
その目はまるで獲物を狙う豹のように鋭く
冷めたものだった。







「かなわんってわかっちょるのに
なんで喧嘩売ってくるかね。」

溜息交じりに吐かれた希紗の言葉に
応えられる者はもういない。

ざっと数えて20人ほど。
その人数の男どもが彼女の前では歯が立たず
足元でのびていた。

(しんどっ。帰ろかな)
踵を返し、帰ろうと歩き出す。

「東堂...調子乗ってっといつか...」

後ろの屍の塊の中から何か聞こえてきたが
そんなのは無視して希紗は足を進めた。
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