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きっと君は

第5章 てぃーたいむ


「ほ、ほんとか!?!?」

急にこちらを振り向く切原。
びっくりするじゃないか。

「あ、あぁ。
人と同じモノでかっこよさ求めるより
自分だけのナニカがあった方が
かっこいいじゃん 」

ふっと笑って言ってやる。
すると、切原の顔が若干赤くなった。

(こういうとこは、
普通の中学生なんやね)

「そ、そーいう希紗だって
髪型メチャメチャかっけーじゃん!」

赤くなった顔で、
精一杯の笑顔で言われた。

こんなに無垢な笑顔は久しく見ていない。
私に向ける視線なんて
敵意か怯えを孕んだものだけだった。


「ありがとう。」

柄にもなく嬉しかった。
自分の表情筋が緩むのがわかった。

「ん?お前何かしゃべり方っつーか
イントネーション変わった?」

しまった。
こいつらの手前、今まで標準語で
話していたのに。
気が緩んで方言が出てしまった。

「俺も思った!関西の方なのか?」

言ったとしても害はないだろう。

「私は四国出身やけん、
ホントのしゃべり方はこっちなんよ
やけど、普段は慣れるまではだいたい
標準語使うがよ」

「何か、仁王みたいなしゃべり方だな!」

「あぁ。たしかに。
仁王先輩もこんな感じっすね」

こいつらの言う仁王先輩と言うのは
十中八九あの仁王だろう。

ここがテニプリの世界なら
居て当然なわけなのだけど。

「仁王?」

一応聞き返す。

「俺の先輩にいるんだよ
詐欺〈ペテン〉師って言われるような
人でさ!」

そういえば、切原は入部したての時に
仁王に騙されたんだっけ。
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