第4章 出会い
意を決して振り返ってみる。
「あぁー。まさかの収穫なしかよぃ。」
「仕方ないっすよ。諦めましょ。」
やはり。
見るからに落ち込んでいる
赤髪とモジャモジャのワカメ頭。
(よりによってテニプリかよ。)
「くっそー。せっかく部活の休み
に出てきたっつーのに...」
たしかこいつら学校神奈川だったはず。
貴重な休みにこっちまで出てきたのか。
ご苦労なことだ。
そんな事をのんきに考えていると
ワカメ頭と目が合ってしまった。
「先輩!あの人っすよ!
最後の一個買ってったヤツ!!」
おい。いきなり指さしてヤツ呼ばわりか。
ここが元の世界ならこの場で
埋めていたところだ、が。
来たばかりの世界でいきなり問題を
起こすわけにはいかない。
「ばっか!いきなり指さすんじゃねーよ!
...わりぃな。」
赤髪は常識をわきまえているようだ。
しかし、目は私の持っている
カゴに釘付けだ。
どうするか。
「先輩こそガン見してんじゃないっすか」
「う、うっせーよ!」
はぁ、仕方がない。
「ねぇ、君たち。
このチーズケーキ欲しいの?」
「え、あ。いや。まぁ。」
どっちだよ。
「いらないんなら
このまま私が買うけど。
どうする?」