第4章 出会い
スーパーに入ると休日だからなのか
ものすごい数の人がいた。
この時期は春休みだろう。
今の私の同世代のであろう
子達もチラホラいる。
さて、何を買うか。
冷蔵庫には文字通り、何も無かった。
(飲み物、お米、野菜、肉...
お菓子と、デザート...)
お金はさっき入口のATMでおろしたので
心配はない。
(だいぶかごが重たくなってきたな)
生活用品は買う必要がなくて助かった。
食材だけですごい量になりそうだ。
(大食いは困る)
自分のことなのにどこか他人事のように
思ってしまうのは私の性格だ。
『本日限定!幻のチーズケーキ』
思わず息を飲んだ。
スイーツ好きの私が見逃がす
わけにはいかない。
(よし、ラスト一個や。買おう)
それを手に取りカゴに入れ
そのままレジに向かう。
「えーーー!!せっかく東京まで来たのに
売り切れかよ!そりゃねーだろい」
「丸井先輩...やっぱ一つ前の電車に
乗った方がよかったんっすよ!」
「それはお前が駅で食いもんばっか
見てたからだろ!」
「俺のせいっすか!?」
...ん?
どこかで聞いたことある声だ。
丸井先輩?
いや、違うだろ。丸井なんて苗字
どこにでもあるはずだ。
でも、だろいなんてふざけた喋り方
あいつ以外思いつかない。
振り返るな希紗。
振り返ってはダメだ。
そんな気がする。
うん、人間は好奇心には勝てないな。
よし。