第5章 幼馴染みと思い〔前編〕
クイクイ――――………
「!!」
不意に、着物の裾を握られた
見てみるとソコには、小さな女の子がコップに入った水を持ちながら、こっちを見ていた
「あの、彩菜様……これ………」
女の子は、彩菜におずおずと水を手渡す
「ありがとう、色葉(いろは)。嬉しいわ」
彩菜がそう言うと、女の子――色葉は頬を紅く染めた
色葉は、最近拾った孤児で、色葉と言う名前は、彩菜がつけたモノである
「さて、色葉。今日も、読み書き頑張ってみようか」
色葉は読み書きが、まだ上手に出来ていない
そこで、無理を言って、万斉(武市だと色々アレなんで)に、読み書きを教えて貰っているのだ
「うん、色葉頑張る」
コクッと頷き、色葉はパタパタと万斉の所に向かった
「何か、可愛いっスね」
「ええ、本当に」
彩菜達は、クスクスと色葉を見ながら、微笑んでいた