第1章 *幽かに、愛*
暫くすると、
佳奈と翔さんだけじゃなくて
母ちゃんも
父ちゃんも
姉ちゃんも、俺の家族は勢揃いだ。
母ちゃんは、俺の名前を呼びながら泣いて
姉ちゃんも、いつもはあんだけ俺に暴言吐いてんのに、今日はブッサイクな顔して泣いてんの。
父ちゃんは、「オマエは親不孝もんだ!!」って、今日も怒ってる。
……死んだ時ぐらい、そんな怒んないでよ。
・
でも、なんで俺は死んだんだ?
死んだことは、かろうじて理解はしたけど
原因が分からない。
というか死んだのに俺、妙に落ち着いてんだよ。
死んだ自分を目の当たりにして、
……自分が幽霊になって浮いてることがなんかおもしれぇんだよな。
・
・
「……ごめんなさい、」
・
・
未だ肩を震わせて泣いていた佳奈が、
翔さんに肩を支えながら
一つ言葉を落とした。
今にも消え入りそうな、か細い声だ。
・
「どうして、高田が謝るんだよ」
「そうよ。 佳奈ちゃんが謝ることなんてなんにも、」
・
翔さんと姉ちゃんが、困惑してる。
父ちゃんと母ちゃんもまた、佳奈の顔を見ながら呆然としていた。
・
「私がいなかったら、こんなことには……二宮くんが、私を助けなかったら、……」
・
また泣き出した佳奈は、膝から崩れ落ちた。
・
・
佳奈の話によると、
俺はどうやら、車に轢かれそうになった佳奈を自分を犠牲にしてまで助けたらしい。
わぁー俺、なんてカッコイイの。
自分で言うのもなんだけど、かっこよすぎるわー。
・
「私が、誘ったんです。 一緒に帰ろって。 そしたら、その帰り道、……」
「高田。 高田は悪くないよ。 悪いのは、車だろ? 信号は青だったて、」
「でも……!!」
「二宮も、高田を責めたりしないよ」
・
そうだよ、佳奈。
オマエは、悪くない。
俺が助けたかったから、助けたんだ。
これで俺が死なずにオマエが死んでたら俺、もっと後悔してた。
・
死んだのが俺でよかったよ。
オマエは生きてて、本当によかった。